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【リフォーム】キッチンの移動は可能?費用や注意点、間取り実例を紹介
キッチンは家族が頻繁に使い、日常生活の中心となる大切な空間です。しかし、「もっと家事動線をスムーズにしたい」「リビングと一体感のある空間をつくりたい」など、現在のキッチンレイアウトに不満を感じている方も多いのではないでしょうか。
リフォームでキッチンを移動し、理想的な配置に変更することで、暮らしの快適さや利便性が格段に向上します。
この記事では、キッチン移動の可否やメリット、実例と費用相場、さらにリフォーム時の注意点や費用を抑える方法について詳しく解説します。
後悔のないキッチンリフォームを成功させるために、ぜひ参考にしてください。
キッチンの移動やレイアウト変更は可能?
リフォームを検討する際に、キッチンを移動したい、レイアウトを変更したいという希望はよく聞かれる内容です。
結論から言えば、キッチンの移動やレイアウト変更は可能な場合とそうでない場合があります。ここでは、キッチンの移動が可能かどうかを左右する要素について解説していきます。
キッチンの移動が可能なケースとは
キッチン移動の可否は、家の構造や配管の配置によって異なります。
まず一戸建てとマンションの違いですが、一戸建ての場合は一般的に構造的制約が少なく、配管の位置さえ変更できればキッチンの自由な移動が可能です。
一方、マンションは構造や上下階の制約が多いため、壁や配管位置によって移動が難しい場合が多く、管理組合の規定により不可というケースもあります。
具体的には、主に以下の内容をクリアできればキッチンの移動は可能といえるでしょう。
・排水管の基準値以上の勾配確保(距離が長すぎる、曲がりが多すぎるとNG)
・ガス管・給水管・電気配線の敷設(経路となる床や天井を一部解体する可能性あり)
・換気経路の確保(梁や壁が干渉する、または外壁の開口ができない場合NG)
移動距離や間取り変更の規模は影響する?
キッチンの移動距離が短い場合は、比較的容易に移動できる可能性が高いでしょう。しかし移動距離が長くなるにつれて、排水管の勾配確保などの問題が生じ、移動が難しくなるケースが増えます。
また、キッチンとダイニングの間の壁を取り払うなど、間取り変更の規模が大きくなると、それに伴う工事も増えるため費用や工期が増加する傾向にあります。
キッチンの移動を考える際には、専門業者による入念な現地調査を経て、移動距離や間取り変更の規模について事前にしっかりと検討することが重要です。
リフォームでキッチンを移動するメリット
キッチンを移動することで、暮らしが快適になるさまざまなメリットがあります。ここでは、キッチンを移動するメリットを2つの観点から解説していきます。
スムーズな家事動線で快適な暮らしが実現できる
キッチンを移動することで得られるメリットのひとつは、毎日の炊事や片付けなどの家事動線が大幅に改善することです。
たとえば、ダイニングテーブルに近い位置にキッチンを移動することで、配膳や後片付けが楽になります。
また、キッチンを洗面所や浴室に近付け水回りをまとめれば、作業効率がアップして家事の時短につながります。
家事にかかる時間や負担を減らすことで、日々の暮らしにゆとりを生み出し、より快適に過ごすことができるでしょう。
理想的なLDK空間がつくれる
キッチンを移動することで、リビングやダイニングも含めたLDK空間全体を理想の形に変えることができます。
たとえば、対面式のキッチンに移動することで、リビングにいる家族とコミュニケーションを取りながら料理を楽しむことができるようになります。
また、キッチンの移動によって開放的な空間が生まれ、リビング全体に光が差し込むようになるなど、より快適で広々としたLDK空間を実現できる可能性もあるでしょう。
リビングやダイニングに自然なつながりを持たせたい場合には、キッチン移動リフォームが効果的です。
キッチン移動のパターン実例と費用相場
キッチンの移動パターンは、大きく分けて4つ挙げられます。現在のキッチンのタイプや、希望するキッチンの場所によって費用相場が変わってくるため、事前に確認しておきましょう。
以下は、主な移動パターンと費用相場です。
①既存キッチンを再利用して場所移動:20~150万円程度
②壁付け型から対面式へ変更:140~250万円程度
③壁付け型からアイランド型へ変更:200~300万円程度
④階をまたいでの位置変更:250万円~
ただし、上記はあくまでも目安であり、キッチンのグレードや設備、工事内容によって費用は大きく変動します。正確な費用を知るためにはリフォーム会社などに見積もりを依頼し、内訳をチェックすることが大切です。
ここからは、それぞれのパターンについて具体的に紹介していきます。
事例1:既存キッチンを再利用して場所移動
キッチンの移動リフォームでは、既存のキッチンをそのまま活用して、設置場所だけを変更する方法があります。この方法は、キッチンの入れ替え費用を抑えたい方にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。
費用はキッチン本体の移動のみであれば20~70万円程度、対面型に変更して腰壁などを設置する際は40~150万円程度が相場です。
たとえば、リビングダイニングとキッチンの間に壁がある間取りで、キッチンが孤立していると感じている場合、壁を取り払ってキッチンを移動することで開放的なLDK空間を実現できます。この時、使い慣れたキッチンをそのまま移動できれば、費用を抑えつつ、空間の雰囲気を大きく変えることができます。
しかし下記のとおり、既存キッチンの再利用にはいくつかの注意点があります。
これらの注意点を踏まえ、既存キッチンを再利用する場合は事前に専門業者に相談し、キッチンの状態や設置場所の状況をしっかり確認してもらうことが重要です。
事例2:壁付け型から対面式(オープンタイプ)へ変更
壁付け型のキッチンを対面式に変更するリフォームは、近年人気が高まっているリフォームのひとつです。
対面キッチンは、リビングやダイニングにいる家族とコミュニケーションを取りながら料理ができ、開放的な空間を演出できるなどのメリットがあります。
壁付けキッチンから対面キッチンへのリフォームの費用相場は、約140~250万円が目安です。費用は、キッチンの大きさやグレード、移動距離、配管工事の規模などによって大きく変動します。
対面キッチンは、片側が壁に接する「I型(ペニンシュラ型)」や、キッチン背面に収納や調理スペースを兼ね備えたキャビネットを組み合わせた「Ⅱ型」、カウンターや腰壁を付属するタイプなど、さまざまなプランがあります。
どのようなプランが実現できるかをリフォーム会社などに相談したうえで、実際の費用を確認しましょう。
事例3:壁付け型からアイランド型へ変更
アイランドキッチンは、四方が壁に接していない島のように孤立したレイアウトのキッチンです。開放的でおしゃれなインテリアを演出できるアイランドキッチンへのリフォームは、作業スペースの確保や動線の改善といったメリットも期待できます。
アイランドキッチンへのリフォーム費用は、200~300万円程度が目安となります。
壁付け型と比べて、キッチンカウンターの形状が大きく異なるため、既存キッチンの再利用は難しく、新たにキッチンを導入する必要があります。
また、アイランドキッチンでは天井吊り下げ型のレンジフードを設置することが一般的なため、既存のレンジフードも交換が必要になるでしょう。これらの費用が、リフォーム費用全体の底上げにつながります。
アイランドキッチンは一般的なシステムキッチンに比べても高いグレードの製品として展開されているケースが多く、そもそも本体価格が高めです。さらに給排水管やガス管、電気配線の新たな敷設、内装工事が必要になるため、総費用が高くなる傾向にあります。
事例4:階をまたいでの位置変更
大胆なリフォームに思えるキッチンの階移動ですが、近年では採用されることも増えてきました。
たとえば、暗く使いづらかった1階のキッチンを広くて開放的な2階LDKに移動する、といったケースが考えられます。
階をまたいでのキッチン移動は、配管や換気ダクトの移設など大規模な工事が必要となるため、費用も高額になりがちです。しかし、間取りを一新することで、生活スタイルそのものを大きく変えられるメリットがあります。
費用相場は状況により大きく異なりますが、250万円以上の予算は見込む必要があるでしょう。
階移動を伴うキッチンリフォームで特に重要なのは、構造の安定性です。キッチンは重量のある設備機器であるため、設置場所の強度が求められます。また、給排水管やガス管の延長工事も必要となるため、建物の構造によっては、希望する場所への移動が難しい場合もあります。
そのため、専門業者による綿密な現地調査と、構造計算に基づいたプランニングが欠かせません。階をまたいでのキッチン移動は、費用や工事期間、構造上の制約など、クリアすべきハードルは少なくありませんが、その分、完成後の満足度も非常に高いリフォームになると予想されます。ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて、大胆な間取り変更を検討してみるのも良いでしょう。
キッチン移動のリスクと注意点
キッチンを移動させるリフォームは、間取りやライフスタイルを大きく変える可能性を秘めています。
しかし、メリットばかりではなく、いくつかのリスクと注意すべき点が存在します。キッチンを移動させるリフォームを成功させるため、これらの内容もしっかりと把握しておきましょう。
構造上、移動が難しいケースもある
キッチンの移動は、住宅の構造によっては難しい場合もあります。特にマンションなどの集合住宅では、ライフラインの設置場所が制限されることが多く、キッチンの移動が難しいケースが多いのが実情です。
キッチンの移動では、排水管を延長したり、新たに設置したりする必要がありますが、マンションでは床下のスペースが狭い物件も多く、これらの工事が難しい場合があります。また、マンションによっては管理規約により可能な工事の範囲が細かく定められている場合もあり、自由に移動できないこともあります。
一戸建て住宅の場合はマンションに比べて配管移設の自由度が高いため、キッチンの移動は比較的容易です。しかし、それでも構造上の制限は存在します。
たとえば、建物の耐力を維持する梁や柱、耐力壁といった構造材は、基本的に移動したり穴をあけたりすることができません。また排水管の距離が長すぎると、基準値を満たしている場合でも最低限の勾配しか取れず、つまりなどのトラブルが発生しやすくなります。キッチン水栓と給湯器の位置が遠すぎれば、敷設費用が余分にかかるだけでなく、水がお湯に変わるまでの時間が長くなる懸念も生じるでしょう。
このように、キッチンの移動は、建物の構造や位置関係によって可否や費用が大きく変わる可能性があります。そのため、キッチンを移動する場合は、事前に専門業者に現地調査を依頼し、移動が可能かどうか、費用はどのくらいかかるのかをしっかりと確認することが重要です。
費用がかさむ場合がある
キッチンの移動を伴うリフォームは、想像以上に費用がかかる場合があります。これは、キッチンの移動には、単にキッチンを移動させるだけでなく、給排水管、ガス管、電気配線、換気ダクトなどの位置変更も伴うためです。これらの配管・配線工事は、移動距離が長くなるほど費用も高額になります。
また、キッチンの移動に伴い、床や壁の補修が必要になるケースもあります。たとえば、キッチンのあった場所の床材張り替えや、壁のクロス貼り替えなどの工事が必要になった場合、その分の費用が追加で発生します。
キッチン移動にかかる費用は、建物の構造や移動距離、配管・配線の状況などによって大きく異なるため、事前にリフォーム会社に見積もりを依頼し、おおよその費用感をつかむことが大切です。
専門業者による入念なプランニングが重要
キッチンを移動するリフォームは、専門業者による入念なプランニングが重要になります。なぜなら、キッチンを移動するリフォームは、配管・配線設備や内装など、さまざまな箇所に影響を与える可能性があるからです。
そのため、キッチンを移動するリフォームを検討する際には、早めの段階で専門業者に相談し、現地調査やプランニングを依頼するようにしてください。
専門業者に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
・構造上の問題点を事前に把握できる
住宅の構造を熟知しているため、キッチンの移動が可能かどうか、移動する場合にはどのような制約があるのかを事前に把握することができます。
・最適なプランを提案してもらえる
顧客の要望や予算、ライフスタイルなどを考慮したうえで、最適なプランを提案してくれます。
・安心して工事を任せられる
希望の工事内容に特化した業者に依頼することで、プランニングから工事、入居後のアフターフォローまで安心して任せられるようになります。
リフォーム会社は資格や許可がなくても営業できるため、業者の質にばらつきがあり、中には悪徳業者がいるのも事実です。
信頼できるリフォーム会社を見極めるためには、施工実績が豊富で地域での評判が良い業者を選びましょう。極端に工事費が安い、早期の契約を迫る、訪問による営業といったケースは避けた方が無難です。
キッチンリフォームの費用を安く抑えるポイント
ここからは、キッチンリフォームの費用を安く抑えるポイント紹介します。
現状の位置を活かすことを視野に入れる
キッチンを移動させたいという要望があっても、必ずしも移動が必要なケースばかりではありません。
たとえば、キッチン自体の老朽化が気になっている場合では、キッチンを交換するだけで問題が解決する可能性もあります。
また、現状のキッチンの位置に不便を感じている場合でも、収納を増やしたり、レイアウトを少し変えたりするだけで、使い勝手が大きく改善するケースもあります。
キッチンの移動には大規模な工事が伴うため、費用も高額になりがちです。そのため、まずは現状のキッチンの位置を活かすリフォームを検討してみましょう。
複数業者に見積もりを依頼する
キッチンリフォームの費用を少しでも抑えるためには、複数の業者に見積もりを依頼することが重要です。複数の見積もりを比較検討することで、費用相場を把握できるだけでなく、より条件に合った業者を見つけることにもつながります。
見積もりは数社を目安に依頼し、合計金額だけでなく内訳まで詳細に確認しましょう。希望内容をそろえて提示することで、正確な比較検討が可能になります。
工事期間やアフターフォローの内容にも大きな違いがあることが多いので、不明な点があればその都度問い合わせることが大切です。
信頼できる業者を選ぶことは、リフォームの成功に欠かせません。複数の業者を比較し、納得のいく業者を選びましょう。
まとめ|後悔しないキッチンリフォームのために
リフォームでキッチンを移動すれば、快適な家事動線の確保や、理想的なLDK空間を実現することができます。一方で、リフォーム費用が高額になりやすいという難点があります。
工事内容やコストに関する注意点を事前に把握することで、後悔のないリフォームを行うことができるでしょう。
キッチン移動のリフォームを考えている方は、まずは信頼できるリフォーム業者に相談し、現地調査を依頼することから始めてみてください。
年間3,000件を超えるリフォーム実績を持つアクティホームでは、キッチンの移動やレイアウト変更といった難易度の高いリフォームについても、お客様の理想を追求したプランをご提案します。
大阪府豊中市や、箕面市、池田市、伊丹市、尼崎市、大阪市内などで、住まいのリフォーム・リノベーションお考えの方はぜひお気軽にご相談ください。
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監修者:大島 秀介(おおしま しゅうすけ)
一級建築士・リフォーム設計専門家
株式会社アクティホーム 管理建築士
大阪工業大学建築学科を卒業し、一級建築士として数多くのプロジェクトを手掛ける。自身の建築設計事務所経営を経て、アクティホームに入社。住宅改修やリノベーションの専門知識を活かし、お客様一人ひとりのライフスタイルに合わせた住空間の提案を得意とします。環境や将来の見通しを考慮し、120%の提案でご満足いただけるよう心がけています。